かいじゅうたちのパペット

03.15.2010

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大人になってしまった女のコは心の中に自分だけのかいじゅうを住まわせている。

このかいじゅうが住みついているか、いないかじゃ、あとにやって来る「老後の愉しみ」という名のガーリー熟女ライフが豊かになるかどーかが分かれるポイントにすらなったりするのかもしれない。アタクシそんなふうに感じております。

公開後すぐにご紹介するつもりがアタクシってばリアルにガーリンだったため、更新が遅くなってしまってゴメンナサイ。てへっ♥(ちゃんと書いたよ〜)。この巷で大いに話題になった「かいじゅうたちのいるところ(原題:Where Wild Things Are)」は、20世紀最高の絵本と賞賛されるだけに、周囲を見回しても子供の頃に読んだ大好きな一冊にあげる人が多い作品です。映画化は難しいとされていた児童文学の巨匠モーリス・センダックの名著を下敷きに、監督のスパイク・ジョーンズとノンフィクション作家デイブ・エッガースが脚本を執筆。しかもセンダック自らが製作者としてお金を出しているというんですからアータ、業界もアッと驚きの企画でありまして。他にも製作陣には親父ボーイを演じさせたら世界一(?)のトム・ハンクスが名を連ねるという、誠にもってゴージャスな旧少年群の競演という点でもリマーカブルな作品なんでございます。

そしてOpening Ceremonyが映画のコラボラインをリリース!というガーリンな話題性たっぷりのファッション・ヴァイブを引っ提げての日本上陸は、当店バイヤーより読者の皆様のほうが何倍もご存知なはず。というわけで、嬉々としてすでにコラボグッズを先制入手して参戦したアンテナのたかーいガーリンちゃんもたくさんいらっしゃるかと思いますが、アタクシが個人的におススメなのはこちらのCrocodile Creek製のパペットたち。

クロコダイル・クリーク」は児童文学に登場する架空の生き物に息を吹き込み、彼らをリアルライフで子供達の親友に生まれ変わらせるというステキな生業を続けている全米屈指の玩具メーカーです。一度ライセンス契約を結んだ作家達とのハートウォーミングな関係はカンパニーが送り出す商品にも現れていて、子供の目という点からだけでなく、ノントキシックなのはもちろんのこと親御さんも安心して選ぶことが出来る信頼あるブランドとして愛されています。このパペットはスパイクが送り出したかいじゅう以前センダックのオリジナル版をベースに作られたものなので、映画との若干の違いはありますが、それでも伝わってくるこの温かみを感じるために手に取らずに居られない。そんな愛らしいかいじゅうたちです。

アタシは残念ながらブルーよりピンクのクレヨンが、かいじゅうより、お人形さんが好きな純粋培養のガーリー幼年期を送る少女だったゆえ、有名な絵本なのは知っていたけど「かいじゅうって男の子の話でしょっ」と半ば決めつけてスルー(申し訳ございません)。だから絵本を開くよりも映画鑑賞のほうが先に来てしまった(!)というわけなのです。え?鑑賞してどうだったか?・・・まあ作品についての感想を書き始めたらちょっと辛口になっちゃいそうなので(強いて言えば”大人は判ってくれない”的なプロローグや、70sの西部劇を彷彿させる骨太な舞台設定のセンスには唸りました)あれはラフタッチにこだわった、彼にのみ作り得るお茶目でワイルドなスパイク・ワールドだった。としておくとして、今回の妄想百貨店がお届けするのは、バイヤーが鑑賞中、予定不調和に思い出してしまったある男の子の話。

ハワイに住んでいた時のこと。キッチンで洗い物をしていると、下の母屋に住むオーナーのテッドが大声でアタシの名前を呼ぶので、慌てて階段を降り、玄関にかけた念のためのロックを外し「Yes, Yes, I'm right here!」と勢い良く扉を開けると、なんと目の前に立っていたのはテッドではなくハワイの虹みたいなビッグスマイルを浮かべた一匹のかいじゅう。一瞬その意味がわからなかったものの、後ろから紹介して欲しそうな視線を送るテッドの手前もあって「ちょ、ちょっと早く入って」とお尻を叩くように、かいじゅうを家の中に招き入れました。

この唐突な訪問者の正体は渡米前にお世話になっていた仕事場で知り合い、ふしぎなほど気が合ってまるで姉弟のようだった男の子(もちろん着ぐるみを着ていたわけじゃありませんよ。笑)。頭の回転が速くてユーモアセンス抜群の、ゴールデンレトリバーに似た人なつこい笑顔の持ち主のその男の子は、職場の女子達にも人気があったので、とりわけ仲が良かったアタシは嫉妬なんかもされたもんでした。サーフィンが好きでたびたび一人でハワイに来るのは知っていたけど...「どうしたの?」と聞くと「お腹が空いたから来た」という呆れた返事(苦笑)。

昨夜の残り物を適当に温めて食べさせるとお腹も満足したようで、せっかくだから近所を散策してから帰るという男の子にくっついて、アタシも案内役がてら一緒に出掛けることに。スリフトショップ(註1*)で気ままにヴィンテージハントしたり、お日様をいっぱい浴びながらビーチパークでお喋りしたり。日本語に飢えていたせいもあって久々に楽しい会話が盛り上がり、すっかり時間が経つのも忘れ、気づくとそろそろサパー・タイム。同居人の帰りを気にしながら家路につくと、先に帰宅してテッドから話を聞いていた彼が不機嫌さを充満させた様子でそこにいたのでした。

その気まず〜い空気に耐えられなくなったアタシが「もうそろそろ帰る?」と沈黙を破ると同時にカウチから立ち上がった男の子は帰り支度を始め、あくまでオトナの態度を崩さない同居人がバルコニーから投げかけた「車で送って行こうか?」ということばに「I'm alright.」と答えて歩き出しました。勘違いによる二頭のかいじゅう対決は免れたものの、日も暮れて夕焼けに染まる一本道を行く男の子の後ろ姿がまるで傷ついたかいじゅうみたいに見えて...。そう言えばふざけてコドモっぽい行動をした時の自分を茶化して「俺ってかいじゅうみたいだよね」なんて言ってたなぁなんてことをフと思い出し、オトコの、否、かいじゅうの背中に母のような気持ちでホロリと来そうになったのを覚えてます。

あれからまったく連絡を取らなくなってしまったけど、こんなところで再会できるとは...と映画館で一人ほくそ笑んでしまうのは大人になった女のコだけに許された醍醐味かと(笑)。

スパイク・ジョーンズと言えば、我らがガーリー番長ソフィアの元夫というタイトルを持つ男としても有名ですが、きっとソフィアもこの作品を観て(観てんだろ)スパイクという暴れん坊のかいじゅうを思い出し、クスっと笑ったのではないか?とガーリー共同体を営む者としては、なんだかそんなふうに妄想してしまうのです。限りなく女子ONLYの世界観にこだわるソフィアと、BOYS専科なやんちゃさを信条にするスパイクは完全に相反していながら、完璧に呼応する部分もあったはず。

一緒の時間を過ごし、やがてそれが過去のものになり、優しい思い出になることで、どれだけ愛おしいものだったのかが理解できるようになる。

そう考えるとガーリー人生にかいじゅうの存在は絶対不可欠だと思えてくるしちょっと前に流行ったスマートな王子系なんかより、よっぽど不器用なかいじゅうのほうが女の子を幸せにしてくれる不思議な力を持っていることがなんだか信じられてくるのです。ついでに言えばいつも魔法が解けてから現れる王子様と違って、今アナタの隣にいるかいじゅうは、未来永劫ガーリンさんがプリンセスでいるための優しさという魔法をずっとかけ続けてくれるかもしれません。そしてアナタの作るその場所が、かいじゅうたちのいるところであるのを彼ら自身も知っている。そんな予感がします。


- この原稿執筆中に空から突然やって来たかいじゅうHAWK EYEに愛と感謝を込めて -



註1*:古着屋。ヴィンテージやアンティークショップとは趣が違うセカンドハンドと呼ばれる古着を扱う店の総称。



Illustration by hipBORNtwin


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パペット 

Crocodile Creek 

¥6,720(4体セット価格) 

Available at

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