NAVIGATORS : taramoon
ブラッド・ピットのケータイ電話
01.12.2009
いよいよハリウッドでは本格的な賞レースのシーズンが始まりましたが、そんな最中に予定されている今月末のジョリー・ピット家来日は大ニュース。3年前はまだシャイロちゃんの妊娠を隠しての来日だったのが、今回は実養含め、さらに4人も子を増やした状態で来ようっていうんですからアータ、日本はどんな騒動になってしまうのか?と妄想するだけで今から胸が騒ぎます。
それにしても年明け早々ブラピです(笑)。我が国における「ブラピ」は「イケメン」の代名詞。イケメン感度については個人の嗜好に関わるナイーブな分野。そのため「ブラピ」を比較級として用いることで、その度合いをわかり易い形で共有できるという利便性があり、またイケテル男子に対しての好意的な枕詞としての機能も兼ね備えている。日本においての「ブラピ」とは、もはや本人の存在をも超える魔法の言葉。「ブラピ」と囁かれた男子なら、照れながらも(ついつい)その気になるものだろうし、恋するガーリンちゃんにとって、大好きなカレは皆ブラピに似て見えるもの(かもしれない)。人々の妄想を喚起するニック ネームを持つ男。それがイケメン世界史へのシード権保持者であるブラッド・ピット、45歳なのでございます。
そして今、日本市場におけるブラピの影響力を一番熟知しているのが、このアタクシと(ウソウソ)ご存知、SoftBankじゃあないでしょうか?TV離れが著しいと言われる現代でも、やはり話題のCMだけは押さえておきたい。それがシリーズ物であれば、おまけにハリウッドの大御所が日本企業のために出演してるっていうんであれば、見ずにおれないのが人の情けでございます。そんな国民の心を鮮やかに掴み、紅組にはキャム、白組にはブラピと、視聴者のポピュラリティーを熟知したその使い分けはお見事。さらには大物監督をブッキングして製作した遊び心いっぱいのショートフィルムは、海外のブログでもけっこう話題を呼んでいる。世界制覇も見据えたブランディングに余念が無いのは、さすが野心に燃えるSoftBankですが、我らブラピを起用して、まさかこんなことまでやってくれようとは妄想もつかなかったのが、年末からオンエアされているウェス・アンダーソンが監督したCMシリーズなんです。
06年から始まったSoftBankのハリウッド戦略。大人世代なら耳にしたことがあるキャッチーな音楽を採用しているのもキーポイントですが、オンエア当初と比べても格段の進歩を遂げた09年バージョン。以前からブラピはウェスの才能を高く評価していたので、今回の絡みは、もしかしたらブラピたっての希望だったりするのかもしれませんが、だとしたらハリウッドでも、なかなか実現出来なかった共演を日本の企業力が成し遂げたというのは、けっこうスゴいことなんじゃないのかと。おまけに今までのW・カーウァイやD・フィンチャーの監督作品でブラピが演じて来た、世界を股に架ける無鉄砲なビジネスマン(だけど意外にお茶目)というキャラ仕立ても、ココに来て驚きの大変革を遂げた(笑)。
昨夏、南仏で撮影されたウェス版でブラピが演じているのは「ぼくの伯父さんの休暇」のジャック・タチ(*註1) 演じるユロ伯父さん。イケメンの代名詞にチーチーパッパなパイル地の上下を着せちゃうとこなんて、お茶の間に印象づけて来た「セクシー&ワイルド」な殻を破り、新イメージへ生まれ変わることを示唆させる、まさにヒヨコちゃんな演出(ぴよぴよ)。しかもBGMはフレンチ・ロリータ代表、フランス・ギャルの「夢みるシャンソン人形」と来たもんだ!ちょっとちょっとちょっとー!このブラピのウェルカム・トゥー・ガーリンな転身ぶりには、ブランジェリーナを見守り続けて早4年のアタシも度肝を抜かれたよ(笑)。ブラピにユロ伯父さんを演じさせたウェスのセンスも斬新だけど、前作までSoftBankがなぞって来たブラピ像のすべてが吹っ飛んじゃうほど、本人も嬉々として演じているような気がするのはアタシだけ?
おそらく彼は、そろそろイケメンからリタイアしたい年頃に差し掛かっているのかもしれません。他人にゃ理解出来ないが、見た目がイイばっかりに苦労して来たことだってあるでしょう。たしかに俺は銀の匙をくわえて生まれて来たような男だ。だから何だってんだ、こんちくしょうめ!と枕を濡らした夜もある(知らんけど)。そして世界中の女性を敵に回したと言われたあの日から、自分がホントに欲しかったものを生まれて初めて知ったブラピ・・・。イケメン、イケメンと周囲に踊らされ、長いことハダカ踊りを踊って来たけれど(爆)俺だってほのぼのとしたフツーのオジサンとして生きてみたい!と切に願う彼がそこにいたに違いない。
そんな出口の見えないイケメン街道を歩くブラピの贅沢な悩みに、業界屈指のトラウマ監督が理解を示し、ジャパンマネーを使って救いの手を差し伸べた。と、アタクシ妄想するのです(日本もいいことしてるなぁ)。イメチェンは望むが、諸事情により女性ファン層の心も掴んでおかねばならぬ、そんな複雑な現状に叶った役を考慮した結果、ガーリンにも嬉しい、ぴよぴよ伯父さんをキャスティング。ブラピの一本気で真っ直ぐにしか進めない単純さを見抜き、このどこか憎めいないお人好しの性格をフランス発おトボケ映画の主人公にリンクさせるなんて、ウェスもだてに人間のトラウマを軽妙洒脱に描いて来てはおりません。
ここで注目しておきたいのはCM使用機種。のどかな牧場を舞台にしたピクニック編で伯父さんが使っているのは、昨年の11月28日に発売された「AQUOSケータイ」の最新機種931SH。シャープ製の液晶TVのAQUOSにちなんで名付けられた、同社製のワンセグ携帯電話。実はこれ、06年の5月、他社に先駆けて業界で初売りした時に孫社長が自ら命名したんだとか。発売当時はまだ社名変更されてなかったため、Vodafoneでの販売が初でしたが、そのAQUOSケータイも、今回のモデルで6代目。イケメン同様、ケータイにも歴史あり(笑)。最新型のこちらはお馴染みだったサイクロイド式から、フルスライド式にモデルチェンジ。やはり今回のコンセプトは共に変身とゆーことなのか?
ミーハーなアタシなぞ、ブランジェリーナも知っているジャパン・ブランドのケータイを持つという小さな喜びに当分の間は抗えそうもございませんが、まるで一家に見る人口推移のように、ニューカマーを追いかけるのだけでも精一杯なほど、右肩上がりに増え続けるケータイ機種。もちろん新CMに伴って紹介されるのは現行の新機種なので、数ヶ月に一度はチェンジするケータイ業界は、当店バイヤーが追っても追ってもまったく追いつけないマーケット(爆)。そこにこれだけのセレブパワーを集結させ、ハイクオリティーなCMを作り、国内の消費者に留まらず、海外在住者にも衝撃を与え続けるSoftBankの広告熱心さは感動に値します。
年明けからオンエア中のビーチ編では、白戸家のお父さんが休暇中の本人に来日を促すシーンがありますが、まさかお父さんに誘われたから来日を決めたのでは無いとは言え、ここまでやるSoftBankとブラピのヤワラカ頭。時代に流されず、広告塔として優れたポテンシャルを持つブラピと、時代を読み取り、自社広告を社会現象の域にまで高めるSoftBankという、ハズレなしのコンビが、意識的か無意識か、変革イメージにガーリン路線を選んで来たことに、ガーリン感性は想像以上に時代に呼ばれているのかもしれない・・・と妄想猛々しくなってしまう今日この頃なのです。
*註1:フランス人の映画監督で俳優であるほか、脚本も自分自身で手がけるなどマルチな才能に溢れたアーティスト。パントマイムが得意だったこともあり、その軽 妙でコミカルな動きがシリーズ作品の主人公となる「ユロ氏」のキャラクターを確立した。ウェス・アンダーソン監督がCM製作でインスピレーションを得た 「ぼくの伯父さんの休暇」は53年に公開されたモノクロ作品で、長編シリーズの2作目。オスカーのオリジナル脚本賞にノミネートもされた。
Illustration by Yuki Kitazumi
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世界最大クラス3.8インチの大画面+世界初ハーフGAの高精細液晶を採用。タッチパネル+ハードキーで操作もラクな至れり尽くせりは、さすが最新機種。
