エリザベスのブルーベリー・パイ

11.24.2008

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もはやインターネット無しでは生きていけるかどうかもわからなくなって来た現代社会(大げさですか?)。その影でアイケア業界は大繁盛なんていう世の中と逆行した景気のよい噂もありますが、いまだかつてメガネやコンタクトレンズにお世話になったことがないくらい、視力に関しては優等生のアタシですら、毎日コンピューターに向かっていると目の乾きや肩こりに悩まされ、心の中で疲れたー!と悲鳴をあげることもございます。


ネット大好きなガーリン読者の皆様であれば、さりげなくアイケアなんぞにもチカラを入れていらっしゃると存じますが、目のためのガーリン的なアイテムと言ったらアレですよね。やっぱりブルーベリーしかないでしょう(笑)。と言うわけで、今回の妄想百貨店でご紹介するのは、ブルーベリー・パイ。昨年のカンヌ映画祭で話題になり、日本でも人気のウォン・カーウァイ監督の初英語作品ということもあって、大いに待たれての公開となった「マイ・ブルーベリー・ナイツ」で、大失恋の痛手を負った主人公のエリザベス(ノラ・ジョーンズ)が、ホールごとヤケ食いしていた紫色の憎い奴。アタシも大好物でございます。


かくゆうアタクシ、その昔はケーキと言えば「モンブラン」というほど、どちらかと言えば甘酸っぱいベリー系よりも、甘ほっこり系の王道スイーツがお気に入りでございました。そしてけっこう巷のスイーツ好きには、このほっこり派が多いのではないかとも思う。ま、年取って味覚が変わった。と言ってしまえばそれまでですが、「マロン」の単純さと違って、「ブルーベリー」には奥深い味とゆーか、なんだか大人っぽくてミステリアスなモノが隠されているような気がするのです。


映画の中でもカフェの店主ジェイミー(ジュード・ロウ)が「ブルーベリー・パイは、いつも売れ残ってしまう」と語るシーンがあります。実際、タイミングを外した時間に訪れたカフェやケーキ屋さんに売れ残っているブルーベリー・パイの確率は低くなく(妄想百貨店調べ)マロン狙いの友人が「えー、モンブランがなーい」なんてゴネてる横で、「アタシはブルーベリー・パイにする♪」なんてことも、けっこうある。なぜに日米の壁を問わず、ブルーベリー・パイは売れ残る確率が高いのか?(妄想百貨店&カーウァイ共同調べ)。


それは「視力回復にはブルーベリー」と皆が知っているように、まずその効能を思い浮かべてしまうブルーベリーのおクスリ的なイメージが、スイーツを食べようという気持ちから遠ざけてしまうのではないかとも妄想してみるのです。今さらアタクシが説明するまでもございませんが、ブルーベリーに含まれているアントシアニン色素は視力回復に効果あり(医学的に立証はされてない)と謳われる他にも、コラーゲンの生成を促したり、毛細血管の強化、またビタミンAやビタミンE、ビタミンCなどの欠かせないビタミン群が含まれているのはもちろんのこと、米国農務省の研究結果によれば、抗酸化作用のあるポリフェノールが米国産43種類の果実と野菜の中で最も豊富だということがわかっているんだそうです。一言で言えば、老化防止の万能薬みたいなもの。そう考えるとブルーベリーの味の奥深さの理由も理解出来るというわけです。


日本で一番有名だと思われるブルーベリー・パイは、おそらく帝国ホテルのレストラン「ガルガンチュワ」のブルーベリー・パイではないでしょうか。1971年のレストランオープンからの人気メニューで定番中の定番。ブルーベリー・ジャムが日本国内で並ぶようになったのが70年代後半だったということなので、さすが帝国ホテル、当時も時代の最先端を行っていたということなのでしょう。ギッシリと詰まったブルーベリーは、上品な甘さと日本人の味覚をしっかりと押さえた爽やかさで、一度食べたら病み付きになってしまう人が続出というのも納得。サイズは3種類ありますが、どれも古き良きアメリカン・パイを彷彿させるホール型で、見た目もかなりガーリンなお品。


失恋して大きな傷を抱えたエリザベスは、単身NYから西へ向かって旅をする。ちょっとおませなガーリンさんなら、傷心旅行に出掛けた経験なんかもあったりするのでは無いかとお察ししますが、ヒトは人生に句読点をつける時、一度その場所から離れてみないと感情を区切ることが出来ない・・・そんな本能的な動物だとアタシは思っています。目的はなく、ただ流れに突き動かされるような旅。エリザベスも傷ついた分だけの長い旅をし、そこで他人の人生を見て、違う人間の感情を発見し、自分自身を見つめます。結果的にエリザベスは人生に傷ついた人ばかりに出会う羽目になり(そこが映画です)自分にはまだ回復力があるのを見つけて、NYのジェイミーの元へ帰って来るわけですが(笑)その影に彼の焼いたブルーベリー・パイの効能があったというのは、エリザベスがジェイミーに宛てたポストカードに書いた「あなたのブルーベリー・パイは世界一おいしい」という言葉でもわかります。


世界一周旅行をしたわけでもないエリザベスに計らずも「世界一」と思わせてしまったブルーベリー・パイ(笑)。時に傷ついて「見えなく」なってしまった自分自身の心。その心を「見つける」ためにも、もしかしたらブルーベリーという甘酸っぱいおクスリは効くのかもしれません。アメリカではお袋の味とも言われる定番料理のパイ。その誰もがホッとする存在にブルーベリーの合わせワザは、やはり世界最強なのかもしれぬ(笑)。もしもこの薬効に賛成してくださるなら、アナタの大事な人が、そしてアナタ自身が疲れている時、心の目にも効くブルーベリー・パイのことを思い出して頂けたら幸いです。


Illustration by Yuki Kitazumi
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ブルーベリー・パイ 

帝国ホテル「ガルガンチュワ」 

18cm ¥3,885、16cm ¥2,625、9cm ¥630(税込み) 

Available at

テイクアウトのみ。人気商品なので電話でのお取り置きは可能です。店名の由来は16世紀フランスを代表する物語作家、フランソワ・ラブレーの小説に登場する美食家で大食漢の王様ガルガンチュワからと言うのも、どこかガーリンな匂いが漂って参ります。

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