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ソフィア・コッポラのリトル・ブラック・ドレス
04.28.2008
今回はミョーに場慣れしちゃったアナタも、壁の花が専門職のアナタも、次回への更なるステップの心得として持っておきたいパーティースタイルについて「ガーリー勢力の中心人物」であり、その縄張りを公私に渡って欲しいままにする「ガーリー界の重鎮」ソフィア・コッポラ番長から学びたい。
ご存知のようにソフィア番長はパーティーっていっちゃ、おんなじよーなリトル・ブラック・ドレスをセレクトすることが8割。そしてヘアメイクに至ってはあっけないほどの普段着風味でございます。幼少のみぎりより、父フランシスの仕事柄、美しい女優さんや最先端の業界人がひしめくインターナショナルパーティーを渡り歩き、生え抜きのパーティーファッションに触れ、最大公約数的な好環境で「洗練の英才教育」を受けて参りました。こんなパーティー玄人の番長がインタビューなどで自らを形容する時によく使うのが「カリフォルニアン・ガール」と言う言葉。実際、ソフィアが産声を上げたのは「ゴッドファーザー」撮影中のマンハッタン。そしてその後も父の撮影について世界中を転々と。これだって庶民にはなかなか許されぬ、けっこう自慢出来る生い立ちだというのに「自我が形成される思春期の大事な時を過ごしたのはカリフォルニアである」ということにこだわり、それを常に彼女のクリエーションの中で押し出し続けている。
本国アメリカにおいて「カリフォルニア」の立ち位置は「ユルい」とか「カジュアル」の同義語であり、敢えて番長の気持ちを代弁すれば、意識はしてるつもりはないんだけれど、肩にチカラが入ってないのは「生まれつき」の持ち味なの。ということであり、「私は単にユルいだけの人間とは一線を画すのだ」ということを公言したい心の表れでもある。なので、ことドレスアップ時に見せる「ユルさ」は、ともすればエッジが効き過ぎの印象を与えてしまう我が身の洗練イメージに一石を投じるべく、自らに課した非常に厳しいルールなのではなかろーか。
冠婚葬祭と言えば「黒」が基本であるように「黒」という色は誰にでも似合う無難で礼儀正しいお色です。ま、ハッキリ言って何の工夫も無ければ地味な色。なので、一般人が着るパーティーシーンでの「黒」ともなれば、しばし非日常的な空間にドップリ身を委ねたい気持ちから、本能的に「キメ」をどこかに作ってしまうのがトーゼンっちゃ当然。ですが、スノッブ一家の令嬢であり、クリエイティブを生業としている番長にとって、パーティーだからってキメ過ぎるのは、なんか田舎くさくってコッパズカしい。という思いがある。
かと言って、それを言っちゃぁオシマイです。だから機会があるごとに「私のユルさはカリフォルニア育ちから来る先天的なもの」と仄めかし、公の場でのドレスダウンの失礼の伏線を張っているのではないか?そしてこの時とばかり目立つことに執念を燃やす自意識過剰なパーティーフリークを横目に、自分自身は毎回おんなじよーなリトル・ブラック・ドレスを着続けることで、別にこんなとこで目立たなくとも元々の屋台骨が違うのです。と控えめに主張し、トレンドやら何やらに踊らされている庶民の価値観を鼻でせせら笑う、否、「リトル・ブラック・ドレスを制するものはパーティーを制するのだ」と、高らかに宣言をしているようにも思うのです。
さて、ガーリンな方なら一枚は常備されているであろうリトル・ブラック・ドレスの長い歴史を紐解く時に忘れちゃいけないのがココ・シャネル女史の存在です。1926年、当時既にパリ社交界で大流行を巻き起こしていた「シャネル」ブランドが、それまで喪服扱いだった黒いドレスを「着こなす人によってシックに見えるモード」として発表。そもそもが誰にでも似合う色だったこともあって、その時代の上流階級の婦人達を皮切りに現在に至るまで世界中に熱狂的に受け入れられていったというわけです。
そしてソフィアと言えば、高校時代の夏休みにパリのシャネル本社でアルバイト(!)したことがあるというのも有名なエピソード。プロム(米国の高校卒業パーティー)で着用したのは、なんとシャネルのレザー&レース製(!)のリトル・ブラック・ドレスだったという「歴代のLBD愛好家」に負けちゃいない完璧なレディー・ヒストリーの持ち主でございます。その骨太なドレスアップ哲学にふさわしく、お若い時から己のパーティースタイルに徹底したこだわりを持ち、ワザの熟練のためには精進を惜しまぬソフィア番長の「リトル・ブラック・ドレス」への飽くなき執念と「キメない」というルールに対する生真面目過ぎるほどのストイックさ・・・。まったくユルいのかカタいのかハッキリしてくれ(爆)。
そんな番長の黒いワードローブは、親友でもあり、ソフィアをミューズのひとりに位置づけている「マーク・ジェイコブス」のモノが大半だそう。これはガーリーを専売特許とするソフィアにとっても、ガーリーを商売のターゲットに置くマークにとっても素晴らしいコラボレーションであるのは間違いなく、番長の無意識な特権階級意識が、見方によっては幼くも見える彼のクリエーションに深淵でロマンチックな効果を与えているのは明らかです。実際、マークはインタビューで「女に生まれ変わるならソフィアになりたい」なんてことまで口走ってるくらいの舎弟ぶり。
最近ではカムバックして話題になったボディコンの神、アライアのリトル・ブラック・ドレスも、子を産んでガーリー熟女路線を打ち出して来た番長の新たなワードローブのアップデートに一役買っているようですが、これもまた流れに逆らわずナチュラルガーリンに生きて来た結果の賜物。
こうして番長の「キメない」という熟練ワザは、ますますガーリー界で珍重され、素直なガーリン達はそのビミョーな匙加減をマネてパーティーくらいユルいムードのセレブを気取ってみたいわ〜とウッカリ思わされてしまうというわけですね(え、違うの?)。でもそれは、生まれた時からセレブを生き抜いて来た土台があればこその匠の仕事。下手にマネして地味なだけに終わり、せっかくのパーティーで悲しい失敗を招くより「キメ」にこだわって勝負するのも庶民ならではのバイタリティー溢れるパーティースタイルだとも思うのです。
Illustration by Yuki Kitazumi
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2008年春夏コレクションより、ガーリンな2着をチョイス。右の「ビデオ」をクリックするとコレクション映像が見れる嬉しい仕掛けもサスガです。ここはやはり番長を気取って、シャネル製のリトル・ブラック・ドレスを一枚新調しちゃう?
